腰痛

腰痛その1

四十代 女性

症状
スポーツを週に1~2回している。試合や練習などで頑張りすぎて、軸足の左足を中心とした動きでしびれや痛みが生じる。
左に側屈するとお尻から足のほうまでしびれる。

診断と治療
軸足の左足を中心とした激しい動きで、左足の外側の筋肉と内側の筋肉のバランスが崩れて発生した腰痛と診る。
こちらの患者さんの場合は、外側に過負荷がかかってバランスが崩れているが、外側の負荷を取り去る施術よりも、内側にちからを与えてバランスを取るほうが治りが早いと判断して治療した。
治療後、痛みがすぐに消失。

使用した主なツボ
曲池L、足三里L、太衝L、環跳L

考察
筋肉のバランスだけでなくて、正月明けで胃腸の調子がすぐれなかったのも原因のひとつ。胃腸の調子はからだの調子。これを整えることで治りもはやく、また効果も持続する。

 

腰痛その2
七十代 男性

症状
半月前から右のお尻から足にかけて痛む。右足に体重を乗せると一番痛む。座っていても尻が痛む。
脊柱管狭窄症の既往あり。もともと腰痛持ちではあったが、この痛みのきっかけは特に身に覚えがない。

診断と治療
胃癌で胃を全摘しており、そのため胃腸に関するいくつかのツボに反応が現れている。
それらの反応をまずは調整することで、からだの基礎能力(消化・吸収、新陳代謝、または自己修復能力)を向上させる。
その上で、問題が起きている筋肉を支配している経脈(気の通り道のようなもの)を調整するような施術を行った。治療後、すぐにラクになる。

使用した主なツボ
曲池L、委陽L、心兪L、環跳R

考察
こちらの患者さんの神経痛のような症状は、直接物理的な原因がなくても、からだの中(内臓)が原因となって生じるケースもある。その場合は、内臓を調整することで自然とその痛みなどの愁訴は消失していくが、時間がかかることが多い。
痛みはすぐに取り去りたいので、該当する経脈の中で、凝り固まっている部分を取り去るような鍼を打った。
その後、内臓(胃腸)を調整したことで食欲が出てきて、おいしく食事をしているとのこと。

 

腰痛その3
四十代 男性

症状
重い工具などを腰に巻いて作業することが多いせいか、腰を反らすと痛む。朝がとくにつらい。
へそのヨコを奧に押しこむと腰にひびく。

診断と治療
重いものを腰の前につけての継続的な作業で腰椎を取り巻く筋肉(や腱)に炎症が起こり、さらには、
からだの前後を走行する経脈のバランスがくずれたと診る。
炎症は鍼を打って少し留めることで鎮静化する。前後の経脈のバランスは、その経脈を調整する経穴に鍼をすることでとる。
これらの鍼で痛みはすぐに良くなった。

使用した主なツボ
小腸兪LR、命門近辺、曲池L

考察
痛む場所近辺に鍼を打って効かせたほうがよい場合と、遠くから効かせたほうがよい場合がある。こちらの患者さんではその両方を行った(それぞれ、命門近辺、曲池)。
ただし、からだの前を走行する経脈には胃腸に関するものがあり、食生活が乱れていると、この経脈に問題がでている場合が多い。そして、それが腰痛の原因となっているケースが実は非常に多い。胃腸を調整しつつ痛みをとる、という方針が必要。

 

腰痛その4
五十代 女性

症状
腰を曲げると左がビクビクしたりビーンという感覚がある。体育館で運動をしていて、
待ち時間が長くて冷えてしまったかもしれないという。明日はまた試合が控えていて、ダブルスなので休めない。

診断と治療
典型的な坐骨神経痛のようなものと思われる。まずはお腹を治し、残った痛みをひざや尻に鍼して取る。

使用した主なツボ
曲池LR、足三里R、委中L、環跳LR

考察
腰痛でも肩こりでも、まずはすべての根っこであるお腹を治している。それでほとんどよくなってしまうケースもまたよくある。こちらの患者さんでは、お腹を調整したらまずビーンやビクビクという異感覚がなくなった。
代わりに別なところに痛みがでたので(環跳)、それを治療した。

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