ひざ痛
ひざ痛の症例を紹介します
ひざ痛その1
七十代 女性
症状
右ひざ関節リウマチ。水が溜まって抜いてもらうがまたすぐに溜まる。じっとしていても痛いときもある。
一日の中で痛みが変動する。滑膜除去しても状況はあまり変わらない。
診断と治療
東洋医学ではからだ全体を観察して治療にあたる。ある部位が痛いといってもそこだけを診るのではなく、おなかを中心としたからだ全体を診て病態を把握する。
この方のリウマチでも、腫れているひざ前面だけでなく、膝窩(ひざ裏)、おなか、背中、首を診て、それぞれで滞った経脈を調整することでよくなる場合が多い。
すでに何度か来院いただいて治療をしたが、見た目は腫れているようでも、痛みはほぼ消失して歩くことにはあまり支障がない状態になっている。
使用した主なツボ
外志室LR、足三里L、犢鼻R、委中R、大杼LR、心兪L
考察
ひざの調整はもちろん、背中やお腹など、全身の調整が奏効したケース。
また、いわゆる自己免疫疾患というものは原因不明とされてきたが、ストレスなど心因性の要素が遠因となっている場合もあり、注目する必要がある。
ひざ痛その2
四十代 男性
症状
数ヶ月前にひざをひどく捻ってしまい靱帯断裂?整形外科で内側側副靱帯が断裂している恐れがある、という診断をうけた。歩いていてもゴリゴリ、ガキガキと不快なひざ周りの挙動があり、痛い。
手術は困る。鍼でなんとかならないですかとのご来院。
診断と治療
ひざなどの関節や運動器に痛みがあるときは、そこの痛みが、その現場の故障で起こっているのか、また別な場所の問題がそこの痛みとして現れているのかの見極めを行う。ひざテストの結果、ひざそのものの故障ではなく(つまりひざの骨やひざの靱帯の損傷ではなく)、ひざに関連する経脈に障害が発生していると診てその経脈の調整、さらにひざをかばって全身に歪なかたちで力が加わっていたのがさらに病状を悪化させていたので、それらを緩めた。2回の治療で、ほとんど痛みはなくなってきている。
使用した主なツボ
外志室LR、照海L、太衝L、足三里L
考察
捻ったときはもしかしたら靱帯に損傷があったのかもしれない(捻挫のようなもの?)が、今はないと思う。
それより、経脈の損傷と痛みによる全身の強張りがあり、そのせいでひざの関連痛(痛みとなる原因が生じた部位と異なる部位に感じる痛みのこと: wikipedia出典)がずっと続いていた。
ひざ痛その3
八十代 女性
症状
ひざを曲げるのが痛い。歩くのも痛いし、正座もできない。右は昔から左は去年から。同じ姿勢でいるのもつらい。
診断と治療
ひざテストでは、ひざそのものに故障があるという結果になった。通常ひざそのものに故障があるときは直接ひざに鍼を打つことが多い。そしてその場合は鍼のひびきが強くなることが多い。だがこちらの方はひざ以外の経脈を調整することで、痛みが改善することができると感じた。
そして、髪の毛のような細い鍼(00番)を使って、さらにはマッサージも併用して、刺激の少ない方法でひざの周りの経脈を調整した。
2日後から曲がるようになって痛みもなくなってきた。喜んでいただいている。
使用した主なツボ
委中R、復溜R、照海R、足三里R、外太衝(名無し穴)R
考察
経脈の調整の手段はいくつかある。患者さんのからだにあった、最適な方法を選択しています。
ひざ痛その4
六十代 男性
症状
階段を昇るときに両足のひざが痛んでつらい。
整形外科で診察をうけたが異常は見当たらない。整体で光線のようなものを照射するようなことをしてみたが良くならない。
診断と治療
こちらの方も、ひざのテストで、ひざそのものには故障はないということになった。それより、へその横に痛いスジがあることに注目、このスジを緩めるために肘付近のツボに鍼を打った。これにより、お腹はやわらかくなり、同時にひざの痛みは軽減、さらに、下腿のツボに鍼を打つことで痛みはほぼ消失した。
使用したツボ
曲池R、足三里R
考察
西洋医学的にはあまり理解されないことだが、お腹を治してひざが治ることは東洋医学にはよくあること。
このケースでは(お腹を治すための)肘のツボでひざが治ったことになる。
ちなみに、こちらの患者さんはお話を聞くと、早食いのくせがおありとのこと。そのせいで慢性的にお腹が硬くなり、結果、ヒザとお腹を通る「胃経」という経脈に問題が生じて、ひざが痛くなってしまったと考える。
その経脈を治せば、お腹も柔らかくなるし、ひざの痛みも軽減する。
(もちろん、よく噛んで食べるようにとの食事の指導も必要になる)